クレマチス専門ナーセリー有限会社及川フラグリーン

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ヤブツバキの剪定と歴史(それほど大げさなものではなく)

 

 

 

庭の片隅、あまり目立たない場所なために、誰も気づいていないだろう、

ヤブツバキがあります。

祖父が60年くらい前に、親戚から譲り受け、植えたものになります。

今でこそ、温暖化が進み、岩手県花巻市でも越冬する樹木になりましたが、

その当時は、それが場所によっては微妙で、育てるのがちょっと難しいもの、

だからこそ、特別な樹木として迎えられたようです。

株元を守るように、廃タイヤを置いて、その中心部に植えていました。

草刈り時に、幹を傷つけないための保護ですね。その気持ちの象徴の廃タイヤ。

今では、そのタイヤもほぼ見えません。

 

そんな家族の歴史の中にある、ヤブツバキの剪定をしました。

下枝をある程度上げ、中を透かし、全体的に軽くしました。

本当は、花後に行うのがベストな剪定ですが、メンテナンスの諸事情により、

今のタイミングになっています。風当たりも弱い場所なので、大丈夫だと思います。

透かし剪定なので、花芽もしっかり残っています。

 

この久しぶりの剪定によって、この樹木の存在感が増しました。

ずっと変わらずに庭の片隅にあった樹木で、下手すると背景として後退し、

スルーされていた樹木が、再度、その歴史とともに、

自分たちの中に入り直した気がします。

 

庭の中に、樹木があり、そしてその歴史があることの素晴らしさを改めて実感です。

木を植えることの奥深さには、こういうことでもあるのでしょう。

イーサゴの庭 1/13

 

 

 

 

 

クレマチス・ショップとガーデン「イーサゴ ナーセリー&ガーデン」の冬の庭の様子。

 

ここ岩手県花巻市、寒冷地の植物は、ほとんどが冬の寒さをしのぐために、落葉

休眠状態、もしくは、葉を丸めるなどのディフェンス状態で、その雪に覆われて

いる風景とも相まって、一見すると、何も見どころがないように思われるけれ

ど、そんなことはなく、庭のいたるところには、様々な形や、色のグラデーショ

ンが潜んでいて、むしろ、春〜秋には気づきもしないシーンが満載で、それを

しながら、もしくはそれに気づけるか、といった感じで、ズボズボと雪に踏み

込んでいく、ウインター・ガーデン・ウォークが、とてもおもしろいし、可能性

を秘めていると思う。

 

クレマチス ‘ルブラ’ Clematis ‘Rubra’

 

野性味と華やかさを併せ持つ

 

クレマチス ‘ルブラ’ Clematis ‘Rubra’

 

花期/5〜10月 花径/5〜7㎝ 丈/2〜3m 剪定/強

 

1600年頃の文献にも、これと似た種が登場しており、かなり古くからあるクレマ

チスと思われます。ビチセラ系の原種ビチセラからの選抜と考えられています。

花は、ベルベット質の濃く深い赤色ですが、花の基部や弁端に白色〜緑色が混じ

ることがあります。しっかりと開かないねじれのある花を、下向きから、やや横

向きに咲かせます。ツンと尖ったつぼみもアクセントになります。

 

赤色という、いかにも園芸品種的な色合いながら、不思議とその咲き姿に原種か

ら受け継いだ野生味を感じ、ナチュラルな植栽の中で、違和感なくワンポイント

として加えられます。ナチュラルな植栽というと、白や淡い青などをメインで使

うことが多いようですが、その中にこんな刺激を加えると、一歩先を行く風景が

つくれるのではないかと思います。

 

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